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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 1
eranndekuretearigatou1

1.

「お疲れさま! お先で~す!」
「お疲れさま。 つくし、今日は寄り道できる?」

バイト仲間の京子が聞いてきた。

現在、私は英徳大学の4年生。
塾の受付のバイトが終わったところだ。
道明寺とは、約束の4年が来る頃、別れた。

未熟な私には、道明寺の抱える責任のほんの一部しか想像できなかったけれど、それでもF4達と過ごしていた私には、大企業のトップになるということは、 並外れたバイタリティーと自己犠牲が不可欠で家庭との両立は難しく、それは支える家族にも大きな犠牲が強いられることを知った。

トップとして泣く子もだまるカリスマ的存在の道明寺社長が病気で倒れ、求心力を失った道明寺財閥の株価下落は止まらなかった。


そんな中、道明寺サイドに喉から手が出るほど良い条件の政略結婚話が舞い込む。

「今日?これから?あいてるけど。」
「じゃ、ライブハウス行かない?音楽もルックスも超イケテルバンドがあるんだって。
つくしもさ、たまにはガンガンに乗って人生楽しまなきゃ・・・。」

私達は、原宿にあるそのライブハウスに行った。


すでにお客で満杯。 
熱狂的なファンらしい女の子グループが最前列を陣取りテンションあげ始めている。
現代っ子京子は、目ざとく空いてる席を見つけたようだ。
バーカウンターで二人分のスナックと飲み物を注文し、京子のところへむかう。


ざわざわ・・・
  ガタッ カタン

5つの黒いシルエットが動き、場内の空気が独特の期待ではちきれんばかり。

真っ暗な世界へ、いきなりきつい光が放たれたと同時に、耳が壊れるような大音量がスピーカーから流れ出し、この音量に耐えれるのか疑問が浮かび、でも、それは一瞬のこと。
私の目はベーシストに釘付けになった。


「え?・・・道明寺!? ちがう!国沢亜門・・・。」


「何か言った?つくし、このバンド知ってるの?
revolution's って言うんだよ。レコード会社からデビューの誘いがあるって噂よ。格好いいよねー。」


私が知ってる亜門と違い、目の前の亜門は明るくまっとうな世界のなかで、文字通りスポットライトを浴び輝いていた。

その綺麗なルックスは厳(いかめ)しいほど人を惹き付け恍惚の表情をさせる。
どうして気付かなかったんだろう。
こんなにピッタリな世界があったなんて。

突然の出会いに、半ば信じられない思いで呆然と見つめた。

でも、やはりこうして頑張っていることが嬉しくて、胸が一杯になる。
耳と体に浸透していく亜門の音楽が、嬉しさと共に素直に身体に染み込んでいくようだ。

ただ音楽の中に体と心をあずけると、疲れなんて忘れてしまう。

生活のために憮然と毎日を過ごしていたスカスカな私に、なんの挨拶も無く入り込み胸を熱くする。

演奏が終った時には、気持ちいい爽快感すら感じられた。

「京子、ちょっとあのベーシストと話せないかなー?」

「つくし、もしかして知り合いなの?すごーい!!大丈夫。私が話しつけてあげる。」

京子は、こういうときすごく頼りになるというか、うまく事を運ぶ才能がある。
私達が控え室の前で待ってると、ドアが開き、懐かしい顔がのぞいた。

「お前、つくしか・・・?」 

亜門がびっくりした様に、尋ねる。
ストレートの髪が、数本汗で頬にくっついていて、ドキッとするくらいセクシーだ。

「あ・亜門・・・、びっくりしたよ! ね、いつから?いつからバンドやってたの?全然知らなかったよ。ものすごい人気じゃない?!」
「お前、何でここにいるんだ? NYに居るはずじゃないのか?」
「・・・あいつとは、別れたんだ。」

頑張っていた私を最も近くで諭してくれた男にそれを言うのは、気が引けた。


「・・・・・隣の子、お前の連れ?今からメンバーと飯食いに行くんだけど、なんなら一緒に行く?」
「えーいいんですか???つくし、行こうよ!」
京子はもう行く気満々。

まず、居酒屋で軽く食事をしてから、カラオケに場所を変えた。

ヴォーカルのカオルさんはさすがに歌がうまい。ステージの続きみたいで、お金払わなくていいのかな。

「やっぱりカオル決心は変わらないのか?」
「折角のデビューの話もあるんだぞ!もう一度考え直してくれよ。」
メンバーの人達が口々に言う。

「ごめん、皆。でも、デビューの話が来た時点で答えは決まってたのよ。
デビューするとなると、生半可な気持ちでいれないでしょ。私には、あれもこれもはできないのよ。わかって欲しい・・・。」
「「えっ??カオルさん辞めちゃうの~??」」と京子と私はハモる。
「カオルは結婚して引退するつもりなの。愛する人のもとへ行くの。」
つぶやくように言う亜門。

しんみりした空気が、遠慮なく流れ出すイントロに吹き飛ばされる。
そして、楽しい雰囲気へとかわるノリのいいミュージシャン達。

次は、私が歌う番。人に自慢できることは少ないけど、結構カラオケでは好評をもらうんだ。
まずは、倖田来未ちゃんの曲。

「「「「つくしちゃ~ん、うまいじゃん~。」」」」

「エヘッ、そう?あ~スッキリした~、いいストレス発散なんだよね~。」


F4みたいにクラッシックの勉強はしなかったけど音楽の点数は、昔から悪くなかったもんね。
今日は、どんどん歌うぞ!

楽しい時間は早く過ぎていくもの。
お開きの時間が来て、私たちはカオルさんに祝福の言葉を伝え、結婚相手の話など興味深く聞いた。

そして、帰りがけに、亜門からバンドの練習を見に来ないかと誘われ、気分爽快だった私は絶対行くよ!なんて、調子いいノリで答えていた。

これが、私とrevolution’sの出会いだった。

つづく

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