忍者ブログ

選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

選んでくれてありがとう 2
html> eranndekuretearigatou2

2.

おんぼろアパートだけど、ここは私の大切なお城。

進は地方の国立大学に進学し、両親はその近くに職を得て暮らしている。
英徳の高額な授業料は、既に道明寺が4年分払い込んでくれていて、今の私が捻出してるのは家賃と一人分の食費等だけ。
といっても、滋さんや桜子やそれぞれ忙しくなったF4が突然やってきるから、いつも多目な食材を買っている。

シャワーを浴びてほっこりしたら、携帯をマナーモードにしたままだったことを思い出した。

げっ、3回も美作さんからだ。
3回目はついさっき。

私は、あわてて美作さんに電話した。

trururururururururururu・・・・・・

「あっ、美作さん?わたし、牧野。」
「おお、牧野。 お前、ずっとマナーモードだっただろ?はーっ、緊急だったらどうすんだよ?まっ、今に始まったことじゃないけどな。 あのな、明日、お袋がお前が食べたがっていたヴィクトリア・サンドウィッチ・ケーキを作るから来ないかってさ。」
「うそっ、嬉しい~。明日はバイト無いから行く!」

「なあ、牧野。お前、就職どうすんだ?」
「そろそろ考えないとね。でも、どんな仕事が合ってるのかもよくわかんないし。」
「とりあえず、うちか類のとこでも入っとくか?」
「そんなことしたら、一生頭上がんなくなるから遠慮しとくよ。」


道明寺と別れてから、美作さんはいつもこうだ。

私のバイトが無い日には、家に呼んでくれたりご飯をご馳走してくれたり。

なんだか塞いでいると、見かねたようにそこから助け出そうとしてくれる。
家族のように、そばにいて暖かく見守ってくれている有難い存在。

「美作さんこそ、美作商事次期社長なんだから、略奪愛なんかシャレにならないからね。未来永劫、美作家の汚点になるよ!」
「俺にはそんな暇なし。マダムどころか総二郎や類とも飲みに行けてないんだぜ。 
まあ、心配してくれて、感謝しとくけどな。じゃあな、早く寝ろ。」


それもそのはず。
F3は英徳卒業後、それぞれ本格的に家業を始めていて、気の毒なほど多忙な毎日をすごしている様子だから。

翌日

「いらっしゃい、つくしちゃ~ん。あ~嬉しいわ、こっちよ!」

毎度の事ながら、美咲ママは年をとらない特効薬でも飲んでるのかと思う。
3児の母でありながら、ピンク・スイートピーのような甘さを漂わせ、キッチンへ誘ってくれる姿は、淡いピンクのエプロンがとてもよくお似合いだ。

隣に立つ美作さんは、肩をすぼめ微笑んでいた。
一緒に作るといっても、ほとんど出来上がっていて、私はレモンカードを塗ったり、ドリーを使って粉砂糖で模様をつけたりしただけ。
そして、優雅なアフタヌーン・ティーが始まる。


「本当においしい!ヴィクトリア・サンドウィッチ・ケーキってお紅茶によく合いますよね。折角のレース模様が崩れちゃって、なんかもったいないけど。」
「あきらも食べる?」
「食うよ。」

双子の芽夢ちゃん、絵夢ちゃんそして、美咲ママがジーっと美作さんを観察して一斉にハモる。

「「「だって、つくしちゃん(お姉ちゃん)の作ったケーキだもんねー!」」」

「はっ?こういう場合、普通付き合いで食うだろうが・・・。なあ?とにかく、食うぞ。」

クスッ、この兄妹は言い合いでさえ、端からみると、甘い綿菓子でいっぱいスウィートなメルヘンの世界だ。
私の声のトーンまで上がってくる。

美作さんの優しさはここで培われたわけで、こんな環境が人を愛せる心を育むのだとつくづく思う。
 

美作さん・・・日本で5本の指に入る商社の御曹司、そして卒業後も名を轟かせているイケメンF4の一人でありながら、平等な思いやりを忘れない人。
そんな稀少な人と知り合いというだけで、私は本当に幸せだ。


ケーキを作って、ゆっくりいただいてる間に、お暇の時間となる。

「美作さん、誘ってくれてありがとうね。」
「お袋は牧野のこと気に入ってるから、リクエストされたってすっごい張り切っててさ。
こっちこそ、ありがとうな。」
「美咲ママは幸せだね。私も持つなら美作さんみたいに優しい息子がいいな。」

「ふっ、こういう環境だぜ。仕方ないさ。」

顎を引いて、ニヤリとする美作さん。

「実は気になってるんだけど、こんな風に遊びに来させてもらって本当にいいのかな?図々しくない?」
「あったりまえ。牧野は、F4が認めた女だろう?」

美作さんは、私の肩にポンと手を置いてそう言ってくれる。

道明寺と切れた今でも、私を歓迎してくれるのが嬉しい。

「ありがとうね、美作さん。
あっ、そうだ、昨日ね、誰にあったと思う?
亜門と会ったの。国沢亜門のこと覚えてる? 今、人気急上昇中のバンドのベーシストで本当にびっくりしたよ。美作さんにも今度紹介するね。」

「え? 司にクリソツなヤツ? 牧野、大丈夫なのかよ。」
「大丈夫も何も、デビューする噂もあるくらいの実力派バンドだよ。立派になってるから、びっくりするよ。一緒に見に行こうよ。」
「牧野、近づかないほうがいいんじゃないか?」
「美作さんも会えばわかるって・・・すごく全うな姿だからさ。」

つづく

PR

コメント

コメントを書く