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60.
亜門のお陰で、頭でっかちに悩んできたことがものの見事に解決した。
今の立場を捨て、美作さんの元へ行く決心をしてからは、残りの仕事を一つ一つ丁寧にこなす毎日を過ごしている。
私の家は、貧乏で電卓をたたいてはどこからかお金が湧き上がってこないかと、夢見る毎日だった。
でもパパやママからもらった愛情は、私が他人に誇れる永遠の財産。
どんなにお金持ちでも、買うことはできない。
親の背中を見て子は育つ・・・、愛する彼(ヒト)との間に子供が授かるのなら、
その子にもちゃんと伝えてあげたいと、わたしのDNAがいう。
暖かい家庭の中で、せめてその子が小さいうちは側に居てやりたい。
小学校三年生の時、書いた『私の将来の夢』
パパやママを楽にしてあげること
あの頃のことを思い出すと、校舎の匂いがするようで胸がキュンとする。
大好きだったパパとママを楽にしてあげて、それから・・・・書けなかったけど
続きがあったんだ。
お嫁さんになること
道明寺と付き合っていなければ、亜門ともめぐり会うことはなかった。
小学校三年生のときからの夢が、美作さんにつながるまでを思うと、
人間が図り知らない摩訶不思議な運命の糸が、幾度も流した涙の中にも
存在して、時が熟したからこうして見えるようになったんだね。
夢なんかかなうものじゃないって思ってたけど、
私の人生まんざらじゃない。
音を創作する喜びのおまけまでついて、夢が現実になろうとしている。
このおまけだって、おばあちゃんになった時、「バンドのヴォーカルしてたのよ。」って
孫に言ったら話が盛り上がらない?
英徳では、F4のまとめ役で、一番目立たなかった美作さん。
バランスと調和を何より大事にするあまり、損な役回りを引いてきただろう。
そんな彼の喜びとちょっぴりの苦悩が手に取るようにわかるから、
側に居て優しくなでてあげよう・・・私が、嬉しいと思うことをしてあげる。
ずっと前から私のことが好きだったと言ってくれたけど、いつからだったのだろう。
時折見せていた仔犬のような瞳は、きちんと語っていたと言うのに、
鈍感な私はちっとも気付かなかったよ。
花沢類は、そんな彼のことを“苦労症”って揶揄してたっけ・・・。
それを苦労と呼ぶのなら、これからは二人で分け合っていきたい。
イタリアに行ったら、美作さんの側で一緒にご飯を食べていっぱい話そう、それから、手をつないで公園を散歩して同じ木を見上げよう。
そして、子供を授かったら、一緒に育児書を読んで、子供の未来を想像しては、
「親バカだね・・・。」って笑い合うの・・・。
そして、子供が無事生まれたら、美作さんと一緒に零れ落ちるくらいの愛情を注ごう。
そんな暖かい家庭を築くことが今の私の夢。
きっと色んなことが待ち受けているだろうけど、側に彼がいてくれるなら、
すごく安心するから怖いものなんてないって思う。
俺は、若さ・美貌・家柄・金・未来を苦労も無く手にし、F4としてちやほやされていた。
女は向こうから寄ってくるもので、年上の極上の女がその絹のような肌を寄せてきた。
“この世にある自由恋愛を謳歌しまくる“
それは、ジュニアの運命を受け入れる覚悟だったから。
他人を動かすことがあっても、動かされることはなかった俺らF4が、
地面を突き破って出てきた春のような女にガツンとやられる。
それまで俺たちの忠告を一向に聞かず、女をさんざんクソ扱いしていた財閥ジュニアの司がその女に恋をした。
俺らは興味津々で、実る可能性がゼロに近い司の初恋を応援し、
二人の恋が宿命という箱から飛び出し強くはばたく姿に自信を投影し、かすかな希望を見出し始める。
凝り固まった概念は、不思議なほど希望にかわっていった。
砕いた奴は、 ー牧野つくしー。
駆け引きのない素直で強い心で、俺たちに宣戦布告した女。
細く折れそうな体のどこからか湧き出る瞳の強さと輝く笑顔を見せる女。
そいつは、俺が幼稚舎の頃からずっと心に巣食っていたコンプレックス、他のやつらみたいに光れない寂しさ・悲しさを一瞬にしてベロリとはがし、輝くような笑顔を俺の心に刻み付けて立ち去った。
恋をしないほうが、おかしいに決まっている。
牧野を女として見始めたのは、忘れもしない4年前の満月の夜。
月の光が牧野の白い肌に反射して、俺の心臓をぶち抜いた。
なあ、牧野、俺はなんて間抜けな奴だったのだろうか・・・。
誰よりも感情を上手く制御できると思っていたのに、肝心なときには、
自分の気持ちも汲み取れないほど、不器用だったんだぜ・・・。
でも、そんな俺をも、ちゃんと見てくれるのだろう?
またそのとろけるような笑顔を見せて、
伸びやかに、「美作さん、大変だね・・・」とか言って。
もし、運命の糸が神の手によってめぐらされたのならば、その神の信者となり、
感謝し続けて一生を捧げよう。
牧野がもうすぐ妻となり、俺の側にいてくれる。
それがどれだけ俺に力を与えるか知っているか? 牧野・・・。
例え天地を揺るがす激戦も、猛者の覇気を撒き散らし怯むことなく前へ行く、鼓動が最後の鐘を打つまで 戦い尽くす。
それを満月の男の輝きと呼べるのは、太陽が輝いている間だけ。
牧野の笑顔を守り通そう。
誰もが魅了される笑顔に一番近く居ることを許された番人の責任。
そして、もし可愛い子供に恵まれたら、俺はどうなっちまうのか・・・。
くそっ、ニヤついて考えがまとまらない。
牧野、きっとお前が俺を良い父親にしてくれるのだろうな・・・。
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