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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 31
eranndekuretearigatou31

31.

「なあ、牧野、その格好あやしくないか?」

私は、美作さんとのドライブのために、一応変装なるものをしてみた。
美作商事の御曹司と私のスキャンダルは、高く売れるはず。
皆に迷惑かけてしまうと思えば、こんな変装へっちゃらだ!

濃茶のエクステンションがくっ付いた帽子を深々とかぶり、美作さんからもらったDKNYのグラサンをかけて、服はあまり持ってないので選べなかったけど、考えた挙句、ベージューのチノパン風ボトムにさらりと白い丸首コットンセーターを着てきた。

この帽子とカジュアルな装いは美作さんの好みとかけ離れているよね。。
だけど、私にはブランド物のサマードレスなんて似合わないし。

しょうがないじゃん・・・こんなお子ちゃまはやっぱり美作さんに似合わないって、へこんでしまう。

「お前、なに落ち込んでんだよ。・・・・ふっ。」
人差し指で私のおでこを笑いながらつついてくる。

「かえって、目立つんじゃないかって言ってんの。桜子にでも相談しろよ、あいつなら牧野の好みも知ってるし、助けてくれるから・・・。まっ、今日はいい。行こうぜ!」


今日は、美作さんが運転して遠出のドライブだ。

私たちは、お互いなんとか捻出したオフを初めてのデートにあてた。

美作さんの運転は、本当に美作さんらしい。
花沢類のようにスピード狂でもなく、道明寺のように鋭角カーブでスピードを上げることも無い。
助手席に座っていて安心していられる。
といっても、私はたいがいどの車でも、すぐ夢の彼方に消えちゃうんだけどね。

「牧野!着いたぞ!・・・おい起きろ!」

初ドライブデートにも関わらず、お決まりのように眠ってしまったらしい私ってどこまでマヌケ?
美作さんが呼ぶ声で目を開けた。



そこは海が見える場所で水面がきらきら光り、初夏の香りでいっぱいだった。

私たちは、ボートハウスで少し休むことにした。


目の前にはたくさんのヨットが停泊している。
そして、白いかもめが真っ青な空を滑空しながら、コアーコアーと鳴き声を上げる。

目覚めた場所に、男前で優しい美作さんがいて、周りは絵に描いたようなきれいなハーバー。
・・・、幸せすぎてドキドキする。

これから美作さんと二人で出かけるたびに胸がこんなになるの?心臓がもたないかもしれない。br>

「なあ、牧野、お前は俺の趣味とかって、知ってる?」
「趣味?」
「そう、俺のことどのくらい知ってるかなー?つくしちゃん。」

いたずらっ子のような顔をして聞く美作さん。

「美作さんの趣味は、女遊びを少々とか・・・?」

ムスッと睨んでくる美作さん。

「冗談、冗談、はっはは・・・。もう止めたんだったね。」

「俺は、牧野のことがもっと知りたいし、俺のことも知って欲しいと思っている。
だから、今日は、ここに連れてきたんだ。
俺ら、時々ここに来て、ヨット乗ったり、水上スキーとかして遊んでた。
18歳になって総二郎と速攻で一級船舶の免許とってさ。
司は、運転なんかしてられっかって言うし、類はほとんど寝てたけどな。
総二郎と俺は暇があればここに来て遊んでたな。」

「どっちみち、女の人と一緒に沖へ出て、その気にさせてたんでしょう?」

「おい、おい、別に拉致したわけじゃねえからな・・・。まっ、それは昔の話。
どの女も好きみたいだったな、こういうスチュエーションは。」

美作さんの女遊びは今さらびっくりもしないけど、ここにもそんな女の人と来て、こうやって話したりしてたのかなっと思うと、生々しくて嫌悪感を感じた。
どういうつもりで私に聞かせるのか不審に思う。

「さあ、そろそろ行こうか・・・。」

美作さんは伝票を持って立ち上がる。

「え?どこに?」

後をついていくと、たくさんクルーザーが並んでいる桟橋の方に出てきた。

すると、そこには背広をきっちり着込んだ男の人が3人立っていて、美作さんに深々と頭を下げている。


何?この人たち・・?

男の人たちは美作さんとなにやら話をしている。
ときおり、すぐ横に停泊していた白く輝くクルーザーを指差しながら。

きれいな船・・・白くてピカピカしている。
新しいのかな~?ブルーのサンルーフが白いボディーに映えてきれい。
私は、そのクルーザーの白さを称えながら眺めていた。

船の前方に視線がいくと、船名が目に飛び込む。
「えっ?これって・・・。」



話が終わり、戻ってきた美作さんは、「ごめん、待たせて・・・。」と白い歯を見せて笑顔で言う。

私は、頭にぐるぐる浮かぶ和訳を理解できず、美作さんの顔をじーっと見つめていた。

「これ、俺も今日始めて乗るんだ。急いで注文したんだけど、どう?気に入った? 」

まるでデパートでソファーを選ぶような感覚で聞く美作さんに開いた口がふさがらない。


「ここに、“Horsetail” って書いてあんだけど。」

船先を指して言った。

「そう、俺と牧野の船。牧野は特別の女だから、特別の船で沖に連れて行こうと思ってさ。」


はあ?
何千万もするんでしょ?
やっぱりこの人、経済感覚がどこかおかしい・・・。

嬉しいより先に、美作さんの買い物感覚に唖然とした。

つづく

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