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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 12
html> eranndekuretearigatou2

12.

「ハル、修、甲斐、つくし、準備いいか?アンコール、いくぜ!」

「「「「OK!!よ~し!!」」」」
ドラムのカウントが合図、一気に照明が明るくなり、私たちの音が会場いっぱい響き渡る。
客席からの声援もマックスで、それに思い切り応えるだけ。

一曲終わり、少しのトーク。


「皆~、楽しんでくれてるよね~!報告します!私たちrevolution'sは来月CDデビューすることになりました!!これも、皆が応援してくれているおかげだよ、ありがとーーー!
revolution'sは、いつもみんなと喜んでもらえる音楽を・・・と願ってやってます。
CDが出たら、ここに来れない人たちにも聞いてもらえるし、たくさんの人をハッピーにするためにがんばりますので、これからも応援ヨロシク!!」
ペコリと頭を下げた。

続けて3曲アンコール。
ステージに立つ度に、伝えたい思い・歌う喜び・ファンへの感謝がどんどんふくらんでいく。
私の体に収まりきれないくらい膨らんで、怖くなるくらいだ。


今日のステージも燃焼し尽くし、控え室で休憩していた。

「つくし、美作さんって人が挨拶したいって。」
「えっ?美作さん?」

まさか美作さんが今日見に来ているとは知らなかった。

「よっ!牧野。」
「見に来てくれるんだったら、言ってよ。なんか、一応、心の準備とか。」
「いや、来れるかどうかわからなかったし、実際、途中からだし。それはそうと、お前、すごいな。すっかり、歌姫じゃん。」
「でっしょー!!」

「あっ、これ、すぐそこで買ったものだけど。」

ピンクのかわいらしいブーケだ。

「ありがとう。美作さん。」 

その小さな花束は、美作さんの優しさが束になってる感じだ。


そこへ、亜門がやってきて、打ち上げに誘われた。

美作さんを見ると、参加はどっちでもいいぞと付け加える亜門。

私はこのまま帰ることにし、途中まで、メンバーたちと一緒にゾロゾロ歩いた。


すると、女の子の声が耳に届く。

「止めてください!」

酔っ払いの親父に付きまとわれて、嫌がっている様子。
その子の声が真木子ちゃんに似ていたから、耳に飛び込んできたのかもしれない。



英徳高校時代、目立たないように暮らしていた私には、真木子ちゃんが転倒して道明寺とぶつからなければ、F4と親しくなるきっかけなんか有り得なかった。
こうして、美作さんや亜門とも歩くことなんて無かったはず。

「ちょっと、やめなさいよ!」とその親父に食ってかかった。

「なんだとぉ!姉ちゃん、おっ、美人さんじゃねえか。」とニヤニヤする酔っ払い親父。
その手を払いのけ、「警察呼ぶよ!」ときっと睨みつけた。

親父は、ぶつぶつ言いながら去っていき、助けた女の子にお礼を言われた。

「いつもやられてたら、つまんないでしょ?」 

ニッコリ笑ってそう言うと、その女の子はキョトンとした顔をする。

美作さんが「牧野、むちゃすんなよ。」とふっと笑う。
そして、亜門は「あいかわらずのやつだな・・・。」微笑んだ。

リモのところでみんなと別れ、美作さんと車に乗り込んだ。

「美作さん、ずっと思ってたんだけど、なんだか顔色悪いよ。大丈夫?今日だって、無理してくれたんでしょ?」
「まあ、心配すんな。今の仕事が一段落すれば、楽になるから。」

私は、いつも美作さんに励まされ助けられてるのに、こんな時どうしてあげればいい?


座席に置かれた美作さんの大きな左手に、自然と自分の手を重ねた。

それは、本当に自然な流れで、なんだか美作さんに優しくしてあげたかったのだ。

「ま、牧野?」

あわてて、手を引っ込めた。

「私、何してんだろ、元気パワーが届くかな~と思ったのかな。ごめん。」


「いや、牧野の手、気持ちいいよ。手を当てられるって気持ちいいんもんだな。」
私の顔は、真っ赤に染まっていたと思う。

「牧野、そういえば、プロム、類と出るんだろ?」
「あああぁ!!返事するの忘れてた。」

「まだ返事してないのかよ?決めたのか?」
「決めたよ、類と出るって。英徳の卒業だもん!」

「司とつきあってる時も、類は特別だったもんな。牧野の体の一部なんだろ?」
「・・・まあね。」

会話は途切れ、美作さんは窓の外を眺めたあと、家までずっと目を瞑っていたようだった。

つづく

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