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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 14
eranndekuretearigatou14

14.

「フランス行くって、長い出張ってこと?また、帰ってくるんでしょ?」

「たぶん、最低3年は帰って来れないと思う。花沢物産はヨーロッパに拠点をおいてて、どうしても行かなければならないんだ。ずっと親父から催促されてた。」

花沢類は、その茶色く透き通る瞳で見つめながら言う。
空気みたいに側にいてくれるものだと思っていたから、遠くへ行くなんて考えられない。

静寂の中、ただ呆然と花沢類を見返す私。

ちょうどその時、けたたましく花沢類の携帯が鳴った。

Trururururururrurururu・・・・・・・・・・・・・・

花沢類は、ちらっと携帯の表示を見て、電話に出た。

「総二郎?何?」
「類か?あきらが襲われた。詳しくはわからないが、男が刃物をもってあきらに襲い掛かったらしい。俺は、今、S病院に向かっているところだ。」

「えっ?あきらが襲われた?」

「 ! 」

花沢類の口から「あきらが襲われた?」って聞こえた?

「ねぇ、美作さんがどうかしたの?ねぇ、花沢類、誰から電話なの?」
「総二郎、今、まきのといるんだ。今から、一緒に病院に行くから。」
「おぅ、じゃあ病院でな。」

花沢類は、電話をきるなり立ち上がり、「まきの、病院行こ。あきらが、刃物を持った男に襲われたって。」

「美作さんが?なんで??病院?・・・そんなの・・嘘。
ねぇ、西門さんの冗談でしょ?そんなこと。そんなこと・・・。」

刃物を持った男に襲われた?前に道明寺がさされた時と同じ。
やっと通じて道明寺と過ごせると思った矢先、暴漢に道明寺が刺され、こともあろうにあいつは私だけを忘れ、冷たく怖い目で私を追い返す日々が始まったのだ。


あの頃の光景が脳裏に浮かんで、フラッシュバックする。
その場から、動けなかった。

私の体は震えだし、花沢類に抱きかかえられると、何度もイヤイヤと首を振るばかりで花沢類はそんな私を強く抱きしめる。

「まきの、落ち着いて、落ち着くんだ。さあ、行こう。」

病院へ向かう途中、うつむいたままのまきのが心配で、何度も頭をなぜて、「あきらは、大丈夫だよ。」と声をかけた。
何も発しないまきのは、両こぶしを硬くにぎり、ひざの上において小さく震えている。

まきのは、きっと司の時のことを思い出してる。
あきら、まきのは司とあきらを重ねちゃってるよ・・・。


「ねえ、まきの覚えてる?英徳の階段で、『自分で稼いだこともないくせに、たいそうなこと言うんじゃない。』って司に指差して言ったよね?
俺、社会にでてみて本当にその通りだと思った。まきのは、あん時から気付いてたんだね。」

「・・・? 」少し顔をあげるまきの。

「司のとばっちり受けて、拉致られて髪の毛、半分切られたね。あの後、マグマ大使みたいで・・・ククッ。」
「みんなには金太郎みたいって言われたけど・・・。」

「あと、パパがリストラにあって漁村行って、まきのはどこでもバイトしてたよね。」
「仕方ないじゃん・・・。」

「高校生なのに、司の母親に道明寺の権力を使われた。それから、司に忘れられた。」
「 ・・・・。」大きく深呼吸をして、黙り込むまきの。


英徳時代は、確かに親の庇護の元、好き勝手にやっていて、まきのから見れば、俺たちは頼りなく見えたことだろう。
社会人となりジュニアとして進み始めた今、まきのに頼られる立場になれるはずだけど。

例え、側にいるのは俺でなくても。

「類様、S病院に着きました。」
「まきの、行こ。」固まるまきのを、ひっぱりあげて病院内へ入っていった。

つづく

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