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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 15
eranndekuretearigatou15

15.

ナースステーションで病室を教えてもらい、足早に向かった。

トントン・・・

「はい。」と女性の声。
きれいな女の人がドアをあけてくれた。

花沢類に続いて病室に入ると、その広い部屋の中、美作さんはベッドの上で点滴につながれ眠っていた。

そんな姿の美作さんを見て、目と鼻の奥がツンとしてくる。

「お、類、牧野。来たか。」

「あきら、どうなの?」花沢類がたずねると、

「襲われた時、とっさに身を交わして深く刺されずにすんだらしい。
腰に切り傷は受けちまったらしいけど、大したこと無くてよかった。
ふぅ~、びっくりさせるなよなぁ~。
傷の治癒を遅らせないため、栄養剤を点滴で入れてるらしいが、ちょうどいい骨休みになるんじゃねえか。」


それを聞いて、安堵のあまり、固まっていた体から力が抜けて行く。
涙がポロリと落ちてくる。


「で、襲ってきたやつは?」
「今、警察で事情聴取中。どうやら、あきらが前に付き合ってた女のダンナみたいだな。
事業が失敗して、妻に愛想つかされ、むしゃくしゃしていたらしくて、あきらから金を巻き上げる魂胆だったかもしれねぇ・・・。」

「あきら、まだ前の彼女と会ってたの?」
「すっかり切れてると思うぜ。そんな話聞いてないし、ここんところ、あいつマジで仕事漬けだったからな。」
「ふ~ん。あきら、変わったね。」

私はベッドに近づいて、眠っている顔を覗き込んだ。
初めて真正面から眠っている美作さんを眺めると、鼻筋がスーっとまっすぐ伸びてて、睫毛がとてもきれいだと思った。

胸が上下に規則正しく動いているのが何よりで、ベッドの端をギュッとつかみ涙を指で拭う。


視線を感じた方へ顔を向けると、ドアを開けてくれた女の人と目が合う。



「申し遅れましたが、わたくし、美作支社長の秘書をさせていただいております里美といいます。
支社長が襲われた時、側におりましたので、そのままお世話させていただいてます。」

「牧野つくし・・・です。」

「支社長、今日はもうお目覚めにならないかと思います。」
「そうですか・・・。」
「よろしければ、今晩、わたくしが付き添ってお世話させていただいてもよろしいですか?」

「え?」

「あきらの傷、幸い軽症だし、看護婦さんに頼んでおけば、大丈夫じゃねえの?」と西門さんが言っても、
「いえ、支社長にはお世話になっておりますから・・・。」と返してきた。

里美さんの申し出を受け、私たちは病院をあとにした。

美作さんの家に戻っても、主の美作さんはしばらく戻らない。

今日は色々なことがあって、部屋に入るなりへたりこんだ。
美作さんが、無事で本当によかった。

世話をさせて欲しいときっぱり言った秘書の女の人とは、仕事の関係だけなのだろうか?


美作さんが刺されてそれどころじゃなかったけど、それからもう一つ気になる話があった。

花沢類がフランスへ行ってしまうって。

空気みたいな存在で居てくれた花沢類が、いなくなっちゃうなんてピンと来ないよ。

花沢類とは、いつでも会えて、ずっと変らない関係が保てると盲目に思い込んでいた。

花沢類だって、ジュニアだから、道明寺のように政略結婚の話だって降ってくるだろうし、周りの女の人だって、放っておかないのに。
無意識に頼っていたことに気付く。

皆に負けないように頑張るつもりでいたのに、こんなんじゃだめだよな。

つづく

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