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3.
私は、スタジオの中が見えるガラスの前に立って、改めてrevolution'sの亜門を眺めた。
やっぱり、道明寺に良く似てる。
そのルックスにファンの女の子たちが夢中になるのもよ~くわかるよ。
けど、ベースの弦を爪弾く指先はやっぱりミュージシャンのもの。
器用に動くものだ。
ギターリストもドラムスもよく見たら、どことなく西門さんと美作さんに似てないかい?
「おっ、つくし!来たか!入れよ。」
「亜門! ここでいいよ。お邪魔でしょうよ。」
「お前さ、こないだカラオケで歌っていた倖田来未の曲、今、歌えるか?」
「えっ???なんで、そんなこと聞くのよ?!」
「まっ、オーディションだ。」
「何?じょ、ジョーダンでしょ。なんで私がオーディション受けんのよ。」
「お前の歌声、いいんだわ。透明感があって、伸びがよくて、高音にパンチがあって、低音でもぶれないだろ。
なっ、やってみないか?
全く興味ないか?卒業してから、やりたいこと見つけてんのか?」
「そ・それは、ただ今全力で模索中。」
「こないだ実に気持ちよさそうに歌ってたよな。少しでも興味あるんなら、考えてみてもいいんじゃねえ? お前のこと、他のメンバーのやつがえらく気に入ってるんだわ。」
「 ・・・・・・・。 」
「まっ、一回歌ってみろよ。やっぱり、あれは聞き間違いだっていう事もあるし。」
早速、イントロが演奏されだした。
歌おうか歌えるのか歌うべきか・・・ドキドキ心臓の音が聞こえる。
思考がもつれてこんがらがるけど、不思議と勝手に歌声が流れ出てきた。
どうしてオーデションを受けているのか理由なんて他所に置いて、歌うことが好きだから歌っていた。
演奏に合わせて声帯をふるわす微動が心地よくて、歌っていいなと自分も再認識する。
パチパチパチパチ・・・拍手だ。
もう決まりみたいに、嬉しそうにメンバーは勝手に盛り上がっている。
その後、カオルさんと一緒にrevolution'sのオリジナルの曲を歌わせてもらった。
帰りがけに亜門に声をかけられた。
「今日は、いきなりで悪かった。
でも、マジで考えてみてくれないか?
返事は出来るだけ早くしてほしい。
実は、レコードデビューの話がきていて、このチャンス逃したくねぇから。」
「ねぇ、それって、もしかして、この私がプロになって歌う可能性があるってこと?」
「そういうこと!」
話が唐突すぎてついていけず、フラリとする頭を立てなおしつつ、返事は今度と約束した。
つづく
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