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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 24
eranndekuretearigatou24

24.

朝起きたら、窓を開ける。

空を見げながら、新鮮な空気を胸いっぱいに入れて肺をふくらます。
ボイストレーニングを始めてからの日課だ。

美作家には、美咲ママのラブリーな庭園があって、赤い小さな実をいっぱいつけたナンテンがちょうどここからよく見える。
スイセンたちも、開花を待ちきれんばかりに白い花弁をのぞかせている。
とうとう今日という日が来た。

CMでrevolution'sの曲も流れるし、CDも店頭に置かれる。
午前中はメンバー全員でレコード会社と広告代理店をいくつか回って、午後は雑誌の取材とその後スタジオで新曲を合わせる予定。

「よ~し、歌姫まきのつくし、始動!」


ガッツポーズをしてから、着替えてダイニングへ朝食を取りにいった。


「お早うございます。牧野様」
「あ、お早うございます。」朝から敬語で挨拶されるのは、どうも慣れない。
美咲ママから、屋敷内では立場を明確にして欲しいといわれているけども。


「おっ、牧野、おはよう。」

新聞を読んでいた美作さんは朝食を終え、テイーカップをソーサーにもどしながらくつろいでいた。

「おはよう!美作さん、今日もすっごくいい天気だね!」
「張り切ってるな。今日、発売日だもんな。
卒業式のあと、ごめんな。どうしてもぬけられなかったから。プロムは楽しかったか?」
「うん。美作さんが、昔ダンスを教えてくれたお蔭で、結構楽しめたよ。花沢類って、ダンスも上手だったよ。」
「あいつが踊ってんの、めったに見かけないけどな。ったく、わかんない奴だ。」

「美作さんは花沢類のお見送りいくの?確か、成田発11時過ぎの便だったと思うよ。私は行けないんだけどさ。」
「俺も、無理なんだ。まっ、俺は来月、向こうで類と会えるし。」
「フランスか~。静さんの結婚式のチャペル素敵だったな。
そうだ、あの時はあんた達のせいでトンボ帰りだったけど、シャンティー城って所に行って見たかったんだよな~。
湖の上に忽然と立っているお城なの。写真で見たことあって、すっごくきれかったんだ。」
「シャンティー城?今度の休みにでも、類に連れてってもらえよ。」
「え?う、うん・・・。」

美作さんの携帯が鳴る。

Tururururu・・・・・・・・・・turururururururu・・・・・・・・

「まきの、じゃ、俺行くわ。」
「うん、いってらっしゃい。美作さんも頑張って。」

「まきの、いよいよだぞ、がんばれよな!」

横を通り過ぎる美作さんは私の肩をポンポンとたたく、おまけのように頭も一つたたいて出て行った。

ホテルの一室で雑誌のインタビューを受けている。

「では、バンドが結成された時は、亜門さんとハルさんと甲斐さんの三人だけだったのですか?」
インタビュアーが尋ねる。
「そうっす。俺と甲斐さんは高校の後輩と先輩の仲で亜門は別の高校だったけど、三人でギターをカチャカチャ鳴らしてたりして。んで、修が加わって。 ボーカルは違う奴だったんだけど、辞めちゃったから・・・。」

「はい、ボーカルのつくしさんはバンドに加わってからまだ一年もたっていらっしゃらないそうですね。」
「そうなんです。私がrevolution'sのライブに行ったとき、知り合いだった亜門がいて、皆で一緒にカラオケ行ったのが事の始まりです。」
つくしはハキハキ答えた。

「亜門さんとは学校のお友達だったんですか?」
「えっと、そうじゃなくて・・・・。」
正直に話すことなんてありえないし、ナント答えればいいか困っていたら、亜門が助け舟を出してくれた。

「こいつは知り合いの知り合いで顔知ってたから、”久しぶり!”ってことになって。元気な奴っていう印象はそのままで、変わらなかったですね・・・。」

確かに私は、亜門の知り合いの知り合いにあたる。
NYマンハッタン島にそびえ立つビルの高層で今でも鉄の女の異名をとる人物を思い浮かべ、背中がぞくっとした。

それから写真を取られて、無事インタビューが終った。


「つくし~、お疲れ!」
「滋さん。まだ居たんですか?」朝、甲斐さんと一緒にやってきてからずっとついてきている滋さん。
「だって、今日は記念すべき日でしょ。revolution'sをちゃんと応援することに滋ちゃん命かけてるからね・・・。つくし、はじめが肝心よ!」
「そりゃ、頼もしい応援なんですけど、そんなにくっついちゃあ甲斐さん動きにくいと思いますよ。」滋さんは、甲斐さんの腕をとり離さない勢いだ。

それからスタジオに移動して、新曲の打ち合わせに入った。
亜門はもちろんハルも修も甲斐さんも、真剣なまなざしで楽譜を眺めたり、楽器を触っている。

うわ、みんな真剣な目。

イケメンの人達が真剣な顔してる時って、なんか近寄りがたい空気が在るね。
曲のアレンジの意見を出し合って、曲創りする過程は忍耐力がいるし、責任も重くなって、よりよい意見だけがバンドの糧になるわけで必死だ。

冗談やふざけた意見は、まったく聞かれない。
妥協せず納得いくまで、詰めていく。
昨日と今日では、緊張感がこんなに違うなんて・・・こうしてプロ意識って出来てくるもの?


音が流れて、私が声をのせる。
お腹の底から声を出して、歌詞を音にしてマイクに注ぐ。
体に伝わるリズムを全身で感じて、私が楽器になって、心に響く音を届けよう。

もっともっと貪欲に、いい音を創っていきたい。

つづく

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