忍者ブログ

選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

選んでくれてありがとう28
eranndekuretearigatou28

28.

フランスでの修行は思っていたより面倒だった。

一つは伝統を重んじる古いヨーロッパ式ビジネススタイルが色濃いため。
そして、もう一つ、社歴の長い日系人が仕事の出来より流暢なフレンチとご当地文化に明るいだけで妙に優遇されており、適正な指導力と公平な人事力のてこ入れが急務だったから。

とにかくこの一ヶ月は、日本を振り返ることも出来ないくらいの忙しさで、久しぶりに旧友に会えるのが楽しみだ。
あきらとは、まきのに告白しろって言われて不機嫌になって以来になる。


店に入ると、あきらが既に待っていた。

「おう、類、忙しそうだな。」
「あきらだって、忙しいでしょ?」

俺たちは、異国の地で近況報告するのに時間を忘れる。

「あきら、秘書の人とつき合ってるの?」
「秘書って俺のだよな?」
「あきらの側で看病してた人。」

「はぁ?里美のこと?付き合ってるわけないだろ・・・。」
あきらは、あきれたように言う。

そんなことだろうと思ってたけど。

「まきのは、何で勘違いしちゃったのかな?」
「うそだろ、あいつ、そんなこと言ってたのか?実は、里美から告られたけど、もちろんすぐに断った。」
「ふ~ん、そういうこと。いつも鈍感なのに、へんなこと気を回したんだね・・・ククッ。」
「 ・・・。」

「あきらとまきの、似てるよね。
もっとさ、自分のことだけ考えたら、色々見えてくると思うんだけど。
一つ誤解を解いてあげる。あのさ、俺、まきのに振られちゃったみたいだから。」

「な~に~????お前ら上手くいってるんじゃないのか?」

「俺たち、別にけんかしてないし、連絡取り合ってるし、上手くいってるけど・・・。」
「上手くというのは、そのだな、男と女としての付き合いのことだ!」
「まきのとは、離れていてもつながってるし、まきのが笑ってれば俺はそれでいいから・・・。」
「お前それで本当にいいのかよ?まきのが、他の男と一緒になっても平気ってことか?」
「う~ん、どうかな?でも多分、まきのが幸せならそれでいい。・・・・・あきらは?」

「俺?・・・・」長い間考えてから、
「俺は、類のように割り切れないかもしれない。」とぽつりと言った。

「あきら、こんなに話してあげたこと、まきのへの卒業プレゼントなんだから、ちゃんと渡しといてよ、後はあきら次第だからね。」 
「げっ、それっなんだよ!」

今日、出張から美作さんが戻ってくる。

里美さんがへんなこと言うから、どんな顔して会えばいいのかって緊張しちゃうじゃない。
あれから、お弁当を頼まれた時の美作さんが浮かんで仕方ないよ。
里美さんと美作さんはただの仕事の関係と知り、なんだかホッとしたような自分もいる。

F4の中で一番お兄さんな美作さん。
今さら、意識してどうする?

花沢類がいなくなったら、優しい美作さんにスイッチって?そんなことできない。


私は、ぼーっと考えていた。
大事なレッスン中なのに・・・。



「まきのち~ゃん、今僕が弾いてあげたところ聞いてた?四分の三拍子だから、この音節は四分音符が三回でしょ?
だから、このドの音に付点がついた場合はどうなる?叩いてみて!」
「は、はい、え~と、付点が着くと半分足すから・・・。」

私は、ボイストレーニングの後に音符のお勉強もさせてもらっている。
いつもは面白くてあっという間に終ってしまうのに、今日はなんだか考え事ばかりして、なかなか終らない。

「今日のまきのちゃん、へんだよ~。なんかあった~?恋わずらいかしら~?
うふっ、これ男の感。ナンチャッテね。まきのちゃんのお眼鏡にかなった人、いい男なんだろうな~。今度、紹介してよ~。」

「何、言ってんですか?!違いますよ。もしいても、先生には紹介できるわけないじゃないですか!」
だって、ゲイなんだもん。

「大丈夫よ、横取りしやしないから~。そうやって照れるところ、まだまだね。でも、悪い男もいるんだから気をつけなきゃだめよ。」


トントン・・・ 

「失礼します。満先生。」

マネージャーの後藤田さんが頭を下げながら入ってきた。
私を迎えにきてくれたのだ。

この後の予定は事務所での打ち合わせ。

CMの話が入ったらしく、それについての説明らしい。
移動すると、もう部屋にはメンバーがそろっていて、スタッフがCM依頼会社のお偉さん達と談笑していた。

「遅くなりましてすみません。牧野です・・・。」挨拶をして席に着いた。

どうやら、CMの依頼会社は大手アメリカ系輸入住宅販売会社で、私たちの曲を気に入ったらしい。
MCレコード会社としては、こんな新人グループを向こうから指名してくるのは会社創業以来らしく藤巻さんが俄然やる気を見せている。

依頼会社のイメージをふくらませるために、会社概要を事細かに説明される。

「・・我が社は道明寺グループの・・・・・」

久しぶりに耳にする道明寺という響き・・・。

これは偶然なの?

それとも、道明寺が故意に・・・・?

「あの、どうして私たちを選ばれたのですか?教えてください。」

突然話の腰を折った形だったので、皆、びっくりして私を見る。

依頼会社の一人が、revolution’sの人気とこの上り調子の勢いに当社も便乗させていただきたいのだと答える。

合点が行かなくて、廊下で藤巻さんにもう一度同じ質問を尋ねる。

すると、この話の始まりは道明寺本社からの推薦で、あとは先ほどの通りだということだった。

やっぱりそうなんだ・・・。

つづく

PR

コメント

コメントを書く