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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 46
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46.

それから10日後に美作さんはイタリアへ出発することが決まり、急遽、いつものメンバーで送別会を開くことになった。
場所は、西門さんお勧めの赤坂の湯葉料理専門店だ。


「司がNY、類がフランス、そして今度はあきらがイタリアに行っちまうんだな。
俺は、ずっと日本にいるから、帰って来たときは連絡しろよ。なっ!あきら。
牧野のことは、心配するな。ちゃんと、俺が相手しておいてやるからさ。」
そういって、私にウインクする軽い調子の西門さん。

F4のうち三人は海外へ出て、いよいよ日本経済を牽引するトップクラス企業家として戦うことになる。

西門さんだって日本を離れずとも、悠久の昔から伝わる日本文化の継承者として、また、西門流派の頂点に立つ重責を担い、将来は日本の顔となっていくはず。

今さらながら、すごい人たちと一緒に過ごしてたんだなぁとしみじみ思う。

「先輩、美作さんに付いていかなくても本当に大丈夫なんですか?遠距離恋愛カップルって、自然消滅多いですからね・・・。」
桜子からピシャっと水をかけられたような言葉。

「よくわかってるよ。遠恋の大変さは・・・。でも、だ~いじょうぶ。」
にっこり笑ってピースする。

「先輩、イタリアの女性って情熱的で、ナイスバディーなんですよ。イタリア料理を勉強しにイタリアへ渡って、大概の男が、現地妻作っちゃってますもんね・・・。」
「桜子、あんた、それでも応援してるつもり?」
「もちろんですよ。先輩!桜子は心配なんです。」

こんな言い方しかできないけど、桜子なりの応援の仕方だって重々承知している。

「実はね、遠恋成就のために私たち二人で色々考えたんだ。ねー!美作さん。
とっておきの作戦とは、ジャン♪☆絶対何があっても毎月一回は顔を合わせること。もし、破ったら、コチョコチョの刑。」
この作戦は、実は、美作さんとベッドの上で考えた秘策。

「・・・・・。」
黙り込む桜子。

「いいねぇ~、その作戦!コチョコチョしちゃうの?30分以上はしなきゃだめよね・・・。」
嬉しそうな滋さんが、身を乗り出してきた。

「そんな刑で罰になんの?相変わらず、刑罰のセンスゼロだなぁ~お前。あきらが、嫌がるようなのはなぁ・・・・たとえば、一週間風呂無しというのはどうだ?」
「さっすが、幼馴染み。痛い所つきますね。センスグッドです。」と桜子。

「総二郎、それは仕事に差し支えるだろ!だめだ。」
黙って聞いていた美作さんが、あわてて拒否する。

「そんなの、私だっていやだよ・・・。」
私は平気と思ってた?西門さん?

その後も勝手な意見を出し合い盛り上がっていた。

私が化粧室へと席を立った時に、優紀も小走りで追いかけてきた。

鏡の前で、久しぶりに二人っきりで話をする。

「ねえ、つくし、とっても幸せそうだね。
私ね、美作さんがイタリアに行くって聞いた時、つくしばっかりそんな目に遭うのはなんで?て思った。
でもさ、つくしは落ち込んでないし、むしろ、やる気になってるっていうか、益々パワーアップしてるからびっくりしたよ。
なんだか、中学の時の元気で人気者だったつくしを思い出した。
これも、誰かさんから愛情をた~っぷりもらってるからだろうね・・・ホント、うらやましいなぁ。」

「やだ、優紀。なんだか照れるよ。
私がここに居るのはみんなのお陰。優紀のお陰でもあるんだよ。
あたしさ、美作さんには甘えたくなるし、甘えさせてあげたいって思う。すっごく、不思議で新鮮な感覚。」
「よかったね、つくし。遠恋、がんばれ!」
「ありがとう、優紀。」

あっという間に、美作さんがイタリアへ発つ前日となった。

急に決まったイタリア行きのため、準備で多忙を極める美作さんとは、湯葉料理以来なかなか話せず、すれ違ってばかり。
でも今晩だけは、どうしても一緒に夕食を食べて、ゆっくりと二人の時間を過ごしたかった。

メールに「もちろん、一緒にすごそう」と返事をくれた美作さん。


テーブルに頬杖をついて、帰りを待っていると、メール着信を知らせる音が鳴る。


♪タンタラタンタラ~ン 

「ごめん、遅れたけど、あと30分で帰れるから」

今晩は厨房の方にお願いして、久々に腕を振るってみた。
私の手料理をここで二人で食べるなんて、美作家では初めてのことだった。

携帯を握り締め、空にキラキラ光る星を眺めつつ、今までのことを振り返ってみる。


毎日、バイトばかりで自分のことは後回しだった英徳時代
スーパーの安売りの日は、確か水曜日だったっけ・・・もう忘れたよ。

あの頃、美作さんに喜んでもらった揚げ出し豆腐、作ってみたけど、思い出してくれるかな?
今日のお豆腐は厨房でいただいた高級品だから、味が違うかもね。

亜門に偶然再会して音楽の世界に入って、デビューするなんて大事(おおごと)を誰が想像できただろう。
歌うことを仕事にしてるなんて、信じられないよね。

知らぬ間に美作さんに恋して、素直に好きだと言える自分、そんな自分が好きになれた。

考え事はそこで途切れ、いつの間にかダイニングテーブルに突っ伏して眠ってしまった。


「チュッ・・・」

頬に当たる柔らかな暖かい感触。

この香り、好きなんだぁ・・・落ち着く香り。
肩をやさしく撫でてくれる大きな手。
気持ちいい・・・。

そっと、瞼をあける。

スーツ姿の美作さんが、きれいな顔で覗き込んでいた。

「あ・・・、ごめんなさい。寝てたの?私・・・。おかえりなさい。」
「くすっ、ただいま。牧野、待ちくたびれたみたいだな。」

美作さんが着替えの間に準備をし、二人きりの時間が始まった。
人払いをしたようで、私たち以外、誰の気配も感じられない。


「じゃ、牧野のバンド活動に乾杯!」
「美作さん、ちがうでしょ。今日は、美作さんのイタリア支社での活躍を祈って・・・でしょ。」
「まあ、そうだな。俺たちの未来に乾杯だ。」
「ねえ、美作さん、留守の間、時々美作さんの部屋行ってもいい?」
「・・・?」
「だって、一番美作さんを感じられる場所なんだもん。」
「牧野の好きな様にしていいぜ。」
「俺が、牧野を感じたくなったら、どうしようかなあ・・・。なあ、牧野、呼んだらすぐに飛んできてくれるか?」
 ニヤリと笑みを浮かべながら聞いてくる。

「それは、いくらなんでも無理でしょ。私だって、お仕事あるし。」
「じゃ、まず、早いうちに牧野がイタリアへ来ること。それで、たっぷり牧野の残り香をつけてもらおうか。」
「私、香水つけてないし。シャンプーのにおいなんて、すぐ消えるでしょ。」
「お前、わかってないよな。」
「何が・・・。」
「男には、視覚的残像があればいいんだよ。」

「あの、それはどういう残像で?」
「ベッドの上の色っぽくて可愛い牧野とか・・・まあ、色々だ。」
「//////、ちょっ、ちょっと、そういう事はっきり言う?」
「お前、いつまでもそういうところ照れて可愛いよな・・・。」
「あ・ありがとう///。」

「そうだ、美作さん、この揚げ出し豆腐覚えてる?」
「おう、昔作ってくれたやつだよな。」
「覚えていてくれたんだ・・・。嬉しい。」
「あの時、類もいたよな?あいつ、もう一個食いたがってさ、俺が来たからお代わりできなくなったって怒ってやがった。
なつかしいよな。」
「うん。さっき、美作さんを待ってる間、私も色々思い出してたんだ。
クスッ、美作さんも私の作った揚げ出し豆腐をおいしいって言ってくれて、花沢類と揚げ出し豆腐をめぐって揉め始めて・・・クスッ、結局、花沢類ったら最後は不貞寝しちゃったね・・・。」

「なあ、本当に俺でいいんだよな?」
「美作さん・・・冗談でもそんなこと言ったら、怒るよ。」
「今さら、ダメって言われても認めないけどな・・・。」
「わたし、美作さんにいっぱい愛されて、自分のことも凄く好きになった。
美作さんのこと考えたら、いっぱいいっぱいの自分がいるのに、まだ自分のことも好きになれるなんて、私ってすごいよね・・・。正直びっくりだよ。
これから、やりたいことを精一杯やってみようと思うし、今ならやれそうな気がするの。
美作さんが教えてくれたんだよ、ありがとうね。」
感謝をこめて、美作さんが大好きだという笑顔を向けた。

「・・・いいな、その笑顔。牧野、頑張れよ。」
夕食の時間は、和やかに過ぎていった。

「牧野、渡したいものがあるんだ。部屋に行かないか?」
「うん。」

つづく

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