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選んでくれてありがとう

美作あきらx牧野つくし

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選んでくれてありがとう 5
eranndekuretearigatou5

5.

オレは、牧野が国沢亜門のバンドに加入すると聞いて、心配の種を一つ抱えた。
ややこしいことにならなければいいがと思い、牧野を食事に誘った。

「牧野、じゃあ、お前、プロになるかもしれないのか?」

「そうなんだよ~、こないだMCレコード会社の担当者が私の歌声を気に入ってくれてさ~即決まり。なんかまだ自分のことのように思えないんだけどさ。 もしかしたら、私の卒業前にレコードデビューになるかもしれないんだって。」

「でも、決める前にオレに、いや類にでも、なんで相談しなかったんだ?」

「あっ、うん。なんかさ、話の展開が速くてどうやって話していいかわからなかったし、なんか、私の心の中でrevolution(革命)が先に起こっちゃって・・・ヘヘ。
美作さん、私ね、今、結構やる気一杯なんだよ。」


牧野が司と別れてから、呆然自失だった頃のことを思い出すと、それは確かにいい傾向だと思う。

「でもな・・・。バンドって、ちゃんと生活できるのかよ?」
「美作さんには、『頑張れ!』って、また肩をポンってたたいて欲しい。」

牧野は、少し潤んだ瞳で見上げてきた。

こいつの瞳は、そういう綺麗な瞳なんだよな。
司と遠距離恋愛してる最中も、俺はなんだか守ってやりたくて目を離せなかった。
多分、俺は牧野のことが好き?


けれども、あいつが望むように励ましてやるだけ。
俺は、密かに牧野の瞳に恋焦がれつつ、曇らないよう願い続けている。

夜空に月が出ていたあの晩から、その思いは続いている。

「そういえば、牧野の前途を祝って皆で集まろうって言ってたぜ。」

MCレコード会社の藤巻さんが、契約の説明をしている。
半年後にレコードデビューできるように今から調整するらしい。

長ったらしい契約内容は、亜門の頭の中に全て入っているようで、納得いかない点はすぐに藤巻さんに変更を求めている。

「牧野、これ、デビュー用に作った曲なんだ。お前、音符読めるか?」
「う~ん、簡単な音だったら読めるけど、ちょっと不安。ねぇ、亜門が曲を書いてるの?」
「ほとんどな。いくつかギターのハルが書いてる。詩は、ドラムの修が多いな。これから、お前も勉強だな!まっ、楽しみながらお前も頑張れよ!」
「さぁ、この曲を歌ってもらおうか・・・。」

私をキーボードのところに連れて行き、メロディーラインを弾き始める。
鍵盤に置かれた指は細くて長くてキレイで、横顔も・・・文句ないよね。

桜子は、亜門と一緒にいると道明寺を思い出してつらくないか心配してくれたけど、大丈夫だ。
私の胸は高鳴らない。
聞こえてくる音の方に、ちゃんと向くから。


「牧野、お前、あいつを思い出すか?」

「そんなことないに決まってるじゃん。亜門、今はもう頭の中はrevolution'sの事だけよ。」

亜門は、口元に微笑みを浮かべて、肩に手を置いた。

「ちょっと!亜門、近すぎ。メンバーに誤解されるじゃない。」
「別にいいし。今、付き合っているやついないんだろ?」
「わたし、そんな器用じゃないの知ってるでしょ。」

「オレ、付き合ってるやついないから、一応言っとく。」

「何よそれ、関係ないし。恋愛はもう当分懲り懲り~。」

つづく

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