[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
50.
書き溜めていた私の曲から良さそうなのを亜門と甲斐さんが選び出し、バンドで歌い始めることになった。
亜門やハルとちがう、それはrevolution’sに幅を与える。
甲斐さんがアレンジを加えた「ミヤコワスレ」という曲は実に評判がいい、幸せな気持ちがあふれているらしくて。
こうして歌と作曲にどっぷりとつかり、スタジオで音作りをする時間が増えた。
そんな折、Revolution’sが週刊誌をにぎわす事件がおきる。
甲斐さんと滋さんができちゃった結婚することになったからだ。
某スクープ雑誌に二人が路上で抱合っている写真がフォーカスされて、滋さんのお父さんの耳に入ったことで事態が動いた。
赤ちゃんができたのなら結婚してちゃんとしろ!とむしろトントンと話しが進んだようで。
実は甲斐さんは洋酒や健康飲料を扱う横浜本社の大手貿易会社を営む裕福なご家庭の出らしい。
既にお兄さんが後をついでおり、甲斐さんが大河原家に婿養子として入ることが決まり、大河原家は問題ないようだ。
けれども、甲斐さんはバンド活動を続けたいと主張し、暫くの間はその意思を尊重してもらったらしい。
事務所の方は、出きちゃった婚ということであっけないほどスルー
雑誌を手にしてみると、路上で抱き合っている写真は紛れもなくあの二人だ。
滋さんの赤ちゃんは、小っちゃいくせに大役を果たしてて、すごいよ。
チャペルの鐘が二人の門出を祝福している。
ライスシャワーを浴びながら歩く二人は、本当に幸せそうで見ているだけで胸がいっぱい。
白いウエディングドレスに身を包み、キュートで可憐ななヘッドドレスとベールの中に、満面の笑みを浮かべる滋さん。
大切な友人の花嫁姿に感動した。
「滋さん、おめでとう!!甲斐さんも!!」
「つくし、ありがとう。次は、つくしの番だよ!」
返事の代わりに心からの祝福を込めて、いっぱい笑顔を返す。
私の横には、美作さん・桜子・優紀・西門さん・花沢類がいて、道明寺は欠席だ。
「お前がそんなに泣いてどうすんだよ。」
美作さんが困ったように、ハンカチを差し出してくれる。
「だって、涙が止まらないんだもん。」
涙で声がこもっている。
「私も・・・いいですよね、結婚しきってなんだか。」
優紀も目を真っ赤にして、ハンカチで口元を覆っている。
「嬉しいのに、なんでこんなに涙が出るんですかね。」
桜子も涙をいっぱい浮かべていて、三人で肩を寄せ合った。
後の男三人は、ズボンのポケットに手を突っ込んで、私たちが落ち着くのを待っている様子。
さすが大河原財閥の一人娘、政治家はじめ大企業の社長さんが多く来席され、美作さんや花沢類や西門さんも挨拶に忙しそうだった。
また、甲斐家サイドも横浜のさすが老舗大手貿易会社なので、多くの仕事関係者と同業の芸能人が列席しとても豪華な顔ぶれ。
そして、revolution’sからのプレゼントとして、私が歌をプレゼントする番が来た。
歌うのに選んだのが、「ミヤコワスレ」という私が作った曲。
今日は、キーボードをハルが、修と亜門によるダブル・アコースティックギターをバックに歌う。
さすが、ミュージシャンで楽器が変わっても余興くらいは平気なのだ。
修は、いつもはドラムで後ろだけど、今日は前に行けるとはしゃいでいる。
静かに二長調の曲が流れ出し、私が歌をのせる。
愛しい人から送られたきれいな薄紫のミヤコワスレ。
そのみずみずしさと可憐な花を幸福に包まれた自分に重ねて歌う。
明日は今日が作るもの、一緒に作っていこうと歌う。
大きな拍手と滋さんのきれいな涙。
私もなんだか胸がいっぱいで、挨拶の言葉も一苦労だった。
「まきの・・・。」
花沢類が親指を立て、にっこりしてくれた。
「牧野の声、やっぱいける。」と西門さん。
美作さんが頭をなでてくれて、頬にキスをくれる。
優紀と桜子は泣いていて、とっても素敵な披露宴だった。
身重の体を配慮して、二次会はひらかれず、西門さんと花沢類と私達は美作家へ一緒に帰ることになった。
そして、飲み足りなかったのか、そのまま宴会へと突入だ。
「総二郎、類、なんでお前ら付いて来るんだよ。」
「皆で会うのは、久しぶりだしいいじゃないか。
牧野とあきらの話も聞きたいしな、なあ、類?」
「まきのとゆっくり話したかったし。」
「そうそう、花沢類!シャンティイ城の絵葉書ありがとう。やっぱり、きれいだよねー。もしかして、わざわざ寄ってくれた?」
「近くまで行ったからさ、そのついで。今度、連れて行ってあげる。」
「おい!」と美作さん。
「あきらもお城見たい?」
「悪いか?」
「ふ~ん。・・・そういえば、まきの、シャンティイ城で結婚式挙げられるの知ってる?」
「ほんとに?きっと素敵な思い出になるだろうな~憧れるな~。今日のチャペルも素敵だったけどさ。」
「あきら、そうらしいよ。」
「・・・。」
花沢類をにらんでる美作さん。
「イタリアにもいっぱいお城あるのに、残念だったね。」
「類、お前何が言いたいんだ?」
ちょっとイライラしてる?美作さん?
「あれ~やっぱり、イタリアよりフランスがいいのかな?つくしちゃんは・・・。」
西門さんも、なんで話をややこしくするのかな。
「もう西門さん、へんなこと言わないでよね!何も、そんなことは言ってないでしょうが。」
「まったく、お前らは。俺たちはうまくやってるから黙ってろ。」
けど、美作さんは微笑んでいる。
幼稚舎から続く幼馴染の仲はずっと深くて、こんな風に羨ましく思う瞬間が時々あるんだ。
それから、二人とも明日は仕事だからと、日付が変わる前に帰っていった。
来客を見送り静かになると、本当の夜がくる。そう思うのは恋人がいるから?
美作さんは私の腕をつかんで見下ろすと、にわかに雄モードに変身する。
離さないという強い意志が、どうやって味わおうか吟味する勝者だけが得る余裕みたいなものが漂ってる。
「牧野、お疲れさん。」
自分の名前を呼ばれて、腕を引っ張られても、美作さんの部屋にするりと入っていく時には、もうただの一人の女に変わっていた。
ベッドの側に行くや否や、抱き寄せられ熱い吐息が顔にかかる。
高まる喜びに、足の力がぬけそうになったところで、ベッドの上に倒された。
私を見下ろす美作さんは、有無をいわさぬ気迫で平常心を奪う。
「美作さん、思い切り抱きしめて。」
手を美作さんの首に回しながら、私の女の部分が全開していく。
美作さんは、一瞬、片目を細めて、光を放つ。
唇にキスを落とされ、体が溶けるような深いキスに感じだす正直な体。
「牧野・・・、やっとこうして抱きしめられる。」
「うん・・・嬉しい。」
髪の毛をなでてくれる大きな手。
大好きなフローラル系の香りに包まれて、愛しい人のぬくもりにゆだねる心地よさはこの上もない。
二人の唇が重なり舌をからませる。
その柔らかな小さな肉片が、歯茎をなでて舌下に触れて、敏感な舌の先端が踊り狂うように吸い付きもつれあう。
美作さんに吸われても、とめどなく湧き出す唾液で潤わされる口内は、こんなにも淫らに唾液をたらして、美作さんを受け入れようとする。
男と女の営みに我を忘れ、恥じらいも無く快楽の渦に身を投じた。
つづく
コメント